合格率10%?なんだ、資格試験て簡単じゃん。

物を見る目、価値観、判断基準というのは人によって本当にさまざまなものです。

難易度の高い資格試験の基準は、10%ルールというものがあり、「10%の合格率を切る資格試験は難易度が高い」と言われています。

ある時、私の資格学校に一人の女性が来ました。

「○○○資格試験を勉強したみたいのですが、どのくらいの合格率でしょうか?」

「だいたい10%くらいですね」

なんだ!結構簡単なんですね

比べる基準を変える
比べる基準を変える

この人は合格するだろうな、と思った瞬間であり、実際にこの主婦はいとも簡単に1回の受験で社会保険労務士試験に合格していったのです。

では、この主婦は資格試験をナメていたのでしょうか?

あるいは、勢いでそういったことを言ったのでしょうか?

それとも、よほどの自信家だったのでしょうか。

後で聞いたところによると、彼女はスポーツ選手だったそうです。

オリンピックは国民が夢中になるスポーツですが、金メダルが確実視されていた人が銅メダルで終わるとどうなるか。それはもう、たいへんな言われような訳です。

では、オリンピックで金メダルを取るのは、資格試験の合格率でいうところの何%なのでしょうか。

宝くじに当たるためには、当選確率は何%でしょうか。

遥かに確率が低い宝くじを買う人は非常に多いのに、それと比較したら大変高確率で合格することが可能な資格試験には挑戦する人が少ない。

合格率が60%の資格試験と合格率が10%の資格試験を比べれば、10%の資格試験の方が難しいのは当然です。しかし、比べる対象を変えてみれば、10%という基準は同じでも随分捉え方は変わります。

オリンピックでメダルを取るという事実は、資格試験で言うならば3%ではありません。上位3%がメダルを取れるのではなく、3人しか取れません。

社会保険労務士の受験者数は平成22年度の試験で55,445人、合格者数は4,790人、合格率は8.6%です。

これがオリンピックだとしたら、メダルを取ることができるのは3人ですから、メダル取得率は0.0000541%です。

1587倍の開きがそこにはあります。

何も比較対象はオリンピックだけではありません。宝くじでも同じことです。宝くじの当選確率は1000分の1ぐらいだといわれています。つまり、0.001%です。

しかも、オリンピックのメダル取得率や宝くじの当選確率は頭数計算であるために絶対的な人数が少ないので、母数が増えれば増えるほどその偶然性は高くなります。つまり、何らかの運の要素が強くなる。これは、オリンピックのフィギュアスケート競技を参考にすれば分かりやすいでしょう。

一方、資格試験は合格率であって、頭数計算ではありません。母数が増えれば増えるほど、合格者の絶対数は必然的に増えるのです。

これは、もっと大きなことに話を発展させれば、

  • ワインが半分残っている時に、「もう半分しかない」と思う人と「まだ半分もある」と思う人の違い
  • 日々の生活の中で、「最近悪いことしかないから、今日も悪いことがありそうだ」と思う人と、「最近は悪いことが続いたので、今日あたり良いことがあるだろう」と思う人の違い

とも似ています。

結局は、自分でどう解釈するのかということです。

そして、何故これが重要なのかというと、こういった判断基準や解釈度合いが、我々のやる気に大きな影響を与えているからなのです。

資格試験というは、難しくても5%程度の合格率はあります。この事実をもって、「自分は合格できない」「落ちて当たり前だ」というのは早計ではないと思いませんか?

むしろ、「合格率5%もあるの!やれば合格できるじゃん!」と思って欲しいのです。なぜならば、合格率5%というのは、そんなに難しいことではないからです。

しっかりとやることをやれば合格することができる。それが、現在の資格試験制度の実態なのです。

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