レンタルキッチン&シェアキッチン【初めての超活用術】

「レンタルキッチン」と聞けば、何か特別なスペースのように感じる方もいるかもしれません。単に「キッチンを借りる」ということだけなのですが、言葉の綴りにやや敷居の高さを感じてしまうこともあるようです。

レンタルキッチンが人気の理由は、自宅のキッチンではできないこと、難しいことが容易にできるということがあります。そんなレンタルキッチンのメリットやデメリットを含め、レンタルキッチンをフル活用するための情報を紹介していきます。なお、レンタルキッチンと似たものにシェアキッチンというものがあります。

シェアキッチンも人気が高まっていますので、レンタルキッチンとの違いも含めて説明していきます。

レンタルキッチンとは

レンタルキッチンとは、「レンタルできるキッチン」のことです。つまり、キッチンスペースを貸し借りすることを言います。昔は外部のキッチンを借りて調理をするということはやや特別なものとして捉えられてきたかもしれませんが、最近はさほど珍しいことではなく、一般的になってきました。

レンタルキッチン

レンタルキッチンが一般の人に普通に利用されるになったのはいくつかの理由がありますが、1つは自宅のキッチンがコンパクトになっていることが挙げられます。ワンルームマンションのキッチンは料理ができなくはないですが、簡易的なものとなっています。そのため、自宅で少し凝った調理をしようとすると難しく、お菓子作りなどはほぼ困難でしょう。何もワンルームマンションに限ったことではなく、IHコンロの普及もあってキッチンは高度化よりも簡易化に舵を切っているように思えます。

もう一つは、キッチンの利用ニーズが多様化していることです。自宅キッチンは自宅で食べるための食事を作る場所、という認識でしたが、最近は「料理教室を開きたい」「弁当を製造して販売したい」「友人を招いてクッキングを楽しみたい」といった幅広いニーズが存在しており、このようなニーズに対しては自宅のキッチンでは対応が困難であるといえます。そもそもスペース的に手狭であるということ、訪問者を受け入れるために自宅を利用するのに抵抗があること、などが理由です。

このような流れのなかで、外部のキッチンを借りるという需要が高まっていきました。特に都市圏を中心に、自動車の駐車場を借りるかのように気軽にキッチンを借りるという流れができつつあります。地方は広いキッチンのお宅も多いため、まだまだレンタルキッチンは一般的ではないということもあるでしょうが、若い人の間ではキッチンを借りるというのは普通のことのようです。

自分の母親が管理しているキッチンを使うことに抵抗を感じることもあるでしょうし、友人と一緒に自宅のキッチンで調理を行うというのは、誘われる友人も大きなストレスです。家族だからこそ融通がきかず、後片付けの仕上がりなどに対してトラブルに発展しがちという点も考えれば、キッチンを借りた方が手っ取り早いと考えるのは当然の流れです。

新型コロナウイルスの蔓延によってテレワークが増加、自宅では仕事が捗らない、集中して仕事をしたいということで「コワーキングスペース」が急速に普及しました。また、最近は社会人や学生が自習ルームを借りるという流れも一般化しており、このようなトレンドから「スペースを借りる」ということに対する敷居が低くなり、結果的にレンタルキッチンも利用者が増えていることが指摘できます。

レンタルキッチンとシェアキッチンの違い

レンタルキッチンと似たものに「シェアキッチン」と呼ばれるものがあります。レンタルキッチンとシェアキッチンにはどのような違いがあるのでしょうか。実は、どちらも大きな違いがあるわけではありません。

キッチン利用

レンタルキッチンはキッチンをレンタルする、いわば借りるという言葉ですが、シェアキッチンはキッチンをシェアする(共有する)という言葉です。シェアという言葉の方がやや強い印象を受けるでしょう。イメージ的には、レンタルキッチンは不特定多数の人がキッチンを利用しますが、シェアキッチンは特定のメンバーがキッチンを共有して利用するというニュアンスになります。

1つの飲食店で、曜日ごとに別のお店が営業しているスタイルを見たことはありませんか。月曜日は定食屋、火曜日はフレンチ、水曜日はラーメン店、といったように、曜日ごとに異なる料理人が自分の店として営業を行う、このような使われ方がシェアキッチンです。ある程度特定のメンバーによって店舗をシェアしているイメージです。

なぜこのような利用方法が広がってきたのでしょうか。それは、飲食店の経営に関心を持つ人が増えたからです。新規で飲食店を開業しようとすると、最低でも1,000万円程度の資金が必要とされており、その多くは店舗に費やされます。店舗は借りることが多いですが、保証金(敷金)は賃料の半年から1年分が求められ、内装の改修や看板などを設置、厨房機器を導入すれば正直言って1,000万円ではとても足りないというのが現実でしょう。

その点、シェアキッチンは7人で共有する場合には賃料は単純計算で7分の1、で済むことになります。また、店内の改修などはできないことが多いですが、そもそも飲食店として稼働しているところであるため、改修の必要性もありません。さらに、厨房機器も一通り揃っており不足しているものだけを自分で購入すれば事足りますから、初期費用を大きく抑えることが可能です。

まずは週1回だけ副業として飲食店を営業してみて、上手くいきそうであれば別の場所で独立開業するという人もいます。将来飲食店を開業したい人にとってみれば、シェアキッチンというのはテスト的な意味合いを含めて非常に使い勝手が良い場所なのです。

このように、レンタルキッチンもシェアキッチンもキッチンを借りられるという本質的な点では同じですが、利用者の目的がやや異なっており、シェアキッチンはビジネス的な意味合いが強い印象です。その分、シェアキッチンの方が厨房設備は整っている傾向にあります。

レンタルキッチンとレンタルスペース(レンタルルーム)との違い

レンタルキッチンと似たものに、レンタルスペースやレンタルルームがあります。ここまでくると言葉遊びになってしまうような気もしますが、いずれもレンタルできるという意味では同じことで、どのような「場所」を借りるのかという違いにすぎません。

最も広義に捉えることができるのが「レンタルスペース」です。スペースというのは場所という意味合いがあるため、部屋や会場などすべてを指すことができます。一方、ルームといえば部屋ですし、キッチンといえば台所を指していますので、スペースの中身を特定していることから、狭義に捉えたものです。

レンタルスペースが最も広義で、その中にレンタルルーム、レンタルキッチン、レンタルスタジオ、レンタルプール、などが含まれることになります。そう考えると、カラオケボックスやホテルなどもレンタルスペースの中に含まれるものであり、我々が今まで普通にお金を払って借りていたカラオケやホテルもレンタルキッチンと似たものであることが分かるでしょう。レンタルキッチンは何ら特別なものではない、ということが理解できると思います。

レンタルキッチンのメリット

レンタルキッチンのメリットはいくつも存在しますが、ここでは多く2つの項目を挙げ、それに付随させる形でプラス面を述べたいと思います。

レンタルキッチンで調理

1.広い

レンタルキッチンの規模によって異なりますが、一般的に調理スペースが広いというのがレンタルキッチンの最大の特徴になります。

家庭のキッチンでは、お母さんと子供1人立てばスペース的には限界ということが多いです。ですから、2名以上で同時にキッチンを利用するというのはかなり難しい。レンタルキッチンは家庭のキッチンと異なり、数人で利用できる程度のスペースが確保されています。

友人と一緒に調理を行ったり、料理教室を開催したり、ということが何ら問題なく行うことができます。レンタルキッチンによっては、大型の調理台(作業台)が別で準備されている、いわゆる料理教室のようなスペースがあります。このようなキッチンは、レンタルキッチンスペースとも呼ばれることがあり、キッチンに加えて広いスペースがあるのが特徴です。40名もの人員を収納できるような施設もあり、大人数での料理教室を開催することもできます。もちろん、大きな作業台があれば、自宅では難しい「蕎麦打ち」など広いスペースが欲しいものも自在に調理することができます。

レンタルキッチンには、単に「キッチン」だけをレンタルすること以外に、ルーム(スペース)もセットになっているケースが多く見られます。例えば、ワンルームマンションの1DKをレンタルルーム、あるいはレンタルスペースとして貸しているような場合、一般家庭用のキッチンが付属することになります。これをレンタルキッチンスペースと呼ぶことがあり、キッチン+αのスペースを借りることができます。調理をするだけで終わりということではなく、自分で食べるのはもちろんのこと、友人を招いて食事会を行うこともできます。

気の合う仲間と集まり、思い思いの調理をしながら料理を作り、女子会を開催することも可能です。自宅のキッチンに人を招いて一緒に調理を行い、出来上がった料理を別の部屋で一緒に食べるというのは簡単な事ではありません。しかし、レンタルキッチンスペースならばそのようなことを普通に行うことができるのです。

2.設備

レンタルキッチンには、すぐに調理を開始できるような豊富な調理器具が取り揃えられており、利用者は自由に使うことが可能です。

本格的なレンタルキッチンにもなれば、業務用の大型スチームコンベクションなど、普段は触れることのできない、一度は使ってみたいような専門的設備が設置されていることもあります。

通常のレンタルキッチンであれば、コンロ、オーブン・レンジ、フライパン、鍋といった通常の料理を作ることができる調理器具が取り揃えられており、自由に使うことができます。また、お菓子作りの道具やパンを焼くための設備などが揃っているところもあり、自宅では置くスペースがないため諦めざるを得なかった調理器具を使うことが可能です。

レンタルキッチンに準備されている調理道具以外にも、ほとんどのところで調理器具の持ち込みを許可していますので、自分で使い慣れたもので調理することもできます。ただし、レンタルキッチンによっては「ガスを使うもの」などや大型のものなどは持ち込みNGというルールが決められているところもありますので、事前に確認することをおすすめします。

ほとんどのレンタルキッチンでは最低限の設備を備えているため、材料だけ持参すればすぐに調理を開始することが可能ですから、気軽に利用できるというメリットがあります。

レンタルキッチンのデメリット

新型コロナウイルス感染症の蔓延を背景に、レンタルキッチンが全国で増えたという経緯があります。とはいえ、コワーキングスペースなどと比べれば数自体は多いとはいえず、自宅の近所にはレンタルキッチンが存在しない、という人も多いかもしれません。

レンタルキッチンは都市部に集中して存在するわけでも、全国的に満遍なく存在するわけでもなく、かなり偏りがあります。利用したくでも近くになければ使うことはできません。

また、料金面でも比較的高額に設定されているケースが多いという特徴があります。というのも、レンタルキッチンは調理をするために借りるところであるため、「ガス代」「電気代」「水道代」などが掛かります。これらの料金を使った分だけ支払うという仕組みのところは少なく、利用料金の中に含んだ形での料金設定となっているため、1時間あたり2,000円~4,000円程度が相場となっています。利用料金については地域や場所、スペースの広さによって違いはありますが、「キッチンをお金を払って借りる」という経験が初めての人からすれば最初は高く感じるかもしれません。自宅から離れた場所のレンタルキッチンを利用する場合には、交通費・駐車場代も必要となります。

また、人気のレンタルキッチンは予約が取りにくいというのもデメリットと言えます。自宅のキッチンであれば使いたい時に制限なく使えるという環境の人が多いでしょうが、レンタルキッチンはさまざまな人がさまざまな目的で利用するスペースです。

そのため、自分が使いたいときには予約がいっぱいで使えないということも大いにあり得ます。特に、土曜日や日曜日などは週末に趣味で調理をする人が早くから予約を入れてしまうこともあり、空いていないことが多いでしょう。人気のあるレンタルキッチンは清潔で設備もしっかりと設置されているところが多いため、早めに予約をしないと利用できないというデメリットがあります。

レンタルキッチンの使い方

レンタルキッチンの使い方には無限の可能性があります。もちろん、調理をすることが前提にはなってきますが、調理に絡めたさまざまな使い方が想定できるからです。

レンタルキッチンで自由に調理

1. 1人や2人で利用するケース

シンプルに調理をしたい!という理由で、レンタルキッチンを利用する女性は少なくありません。自宅では制限を受けることが、レンタルキッチンであれば調理器具が揃っていることもあっていろいろな調理に挑戦することができます。さまざまな調理に挑戦して調理の腕を磨くという人も多いです。特に、パンやお菓子作りはなかなか自宅のキッチンでは難しいことが多いため、レンタルキッチンを利用する傾向にあります。フリーWIFIが使える場所ならば、YouTubeなどの料理動画を見ながら調理することが可能です。

同様に、「そば打ち」で利用するというケースもあります。そば打ちは大型の作業台が必要となることが多く、打ち粉なども使うことから自宅では難しいというケースが多いです。大型の作業台があるレンタルキッチンであれば、自分の納得できるレベルまで打つことができ、打ち粉などが飛散しても自宅よりは清掃が容易です。このように、自宅で調理が難しいものをレンタルキッチンで行うという用途は比較的多く、蕎麦打ちのほかには「大型の魚(あるいは大量の魚)を捌きたい」「同一のものを大量に作りたい(ただし、販売目的ではなく自家消費用として)」などがあります。

試作品づくりに利用するというケースも多いです。お菓子やパンの製造販売を検討している人が、特徴ある商品を製造するためにいろいろと試す場に使えます。レンタルキッチンは広さがあるため、試作品を並べて比較しやすく、メモなども取りやすくレシピにまとめやすい。さらには写真撮影なども行うことができるだけ、新商品開発の場として使うことができます。

カップルで料理デートと言う使い方もあります。二人の共同作業を通じて愛を深めるという、若い人に人気の使い方です。調理した料理を二人で味わうというところまで含めてデートと言うことでしょう。家族での利用もあり、「お父さんにバレンタインチョコをあげるため、手作りチョコレートに挑戦したい」という女の子もいます。もちろん、「お母さんの誕生日ケーキを作りたい」という男の子も少なからず存在します(どちらかというと、お父さんが引っ張ってくるという感じですが)。バレンタインチョコも誕生日ケーキも自宅でも作れるのでしょうが、見られてしまうと価値が半減してしまうので、見られずに作ってサプライズ渡しがポイントでしょうから、その点、レンタルキッチンが有用です。

調理の様子を動画配信するという使い方もあります。カメラをセットしておき、調理工程を動画に収録、後で編集しながら動画コンテンツとして提供する場合もあれば、そのまま調理の様子をライブ配信するという形式もあります。趣味の場合もあればビジネスとしての利用もありますが、完成した商品を販売するわけではなく、調理の様子をライブ配信してお金をもらうのであれば一種の料理教室と同じであるため、レンタルキッチン自体に飲食店の営業許可なども求められないことから、気軽に利用することができるでしょう。

2. 5人程度のグループで利用するケース

気の合う仲間や家族での利用が考えられます。

レンタルキッチン付きのレンタルルームは、女子会利用に人気です。主婦やOLが仲間同士で集まって簡単なおつまみなどを作って恋バナを咲かせる。あるいは、やや本格的な鍋を作っての鍋パーティー、肉を焼き上げた焼肉パーティーなどといった利用の仕方です。

家族で利用するというケースもあります。家族内の誕生日を祝うため、レンタルルーム内に飾り付けを行い、調理した料理でお祝いをする。自宅で食べる料理とはまた少し違った雰囲気の中で料理の味も格別。

小規模な合コンに使われることもあります。婚活クッキングなどと呼ばれることもありますが、男女が共同作業で調理を行うことで親密度が高まり、カップル成立の可能性が高まると言われています。調理する作業と食べる作業は人間の素が出ることもあって、相手を見極めるという意味でもポイントになることがあるのでしょう。

調理を対象にしたワークショップとしての使い方もあります。簡単に言えば料理教室ということですが、やや人数が少ない状況下でアットホームなレベル感で先生と生徒が近い距離で行うイメージがワークショップです。

学生同士で調理を行う際に利用することもあります。学校には調理室や家庭科室などがありますが、授業以外では利用することができないことが多く、その場合にはレンタルキッチンを利用することになります。サークルなどで利用するほか、学校の課題をこなしたり、学校で行うイベントに向けた商品開発、ゼミの取り組みで調理を伴う場合にはレンタルキッチンは都合が良いと言えます。

3. 10人以上の大人数で利用するケース

料理教室が代表的な使い方です。実店舗を持つ有名店のシェフが料理教室を主宰する際、衛生面を考えれば自店舗に一般の消費者に近い生徒を招き入れるというのは好ましいとはいえません。また、有名店のキッチンといえどもスペース的には余裕があるとは言えないため、レンタルキッチンの方が料理教室には向いているというシェフが多くいます。

実店舗であれば、プロが使う調理器具が揃っているため調理をするのも好ましいイメージがありますが、料理教室で習う対象者はあくまでも一般の人であるため、一般家庭に存在しないようなプロ用設備で学んでもその技術を活かせないということがあります。そのため、一般の家庭に置かれている普通の設備(電子レンジなど)を備えたレンタルキッチンの方が都合は良いという事情もあります。

他には、大人数での婚活クッキングにも活用されることがあります。男女それぞれ5名程度の人数で合コンを開催するには相応の広さが必要であり、レンタルキッチンが利用されることがあります。

一般的な傾向として、人数が多くなるにつれて個人利用よりも法人(団体)での利用が多くなります。

個人であれば「試作やレシピ開発」というように1名や数名で行うものが、法人や団体になると「試食会」というように形式が変わります。モニターなど外部から招待客を招いて実際に味わってもらうことで評価をしてもらうような使い方がなされます。また、飲食関係の企業が研修会を開催するようなことも珍しくありません。業務の一環としてメニュー開発部門のスタッフがレンタルキッチンを長期的に借り切って開発に精を出すというような事例も見られます。

もちろん、複数の家族が集まったパーティーなどで利用されることもありますが、自分たちで調理するという目的に乏しさが増すため、少しお金をかけても飲食店において料理込みで行うという傾向にあるため、個人が大人数で利用するというケースはそれほど多くはありません。

レンタルキッチンの利用料

レンタルキッチンの利用料は、時間単位の金額設定が一般的です。つまり、1時間単位でいくらという形式となります。一般的には、1時間あたり1,500円~5,000円が多く見られます。また、半日単位や1日単位などでの料金設定も見られますが、1時間に換算すると1,500円~5,000円のレンジに入ることがほとんどです。

レンタルキッチンを使い倒そう

一般的なレンタルスペースに比べ、レンタルキッチンの場合にはやや割高に設定される傾向にあります。これは、レンタルキッチン運営者(オーナー)から見て、レンタルキッチンの方がコストはかかるからに他なりません。

利用者はレンタルキッチン内で調理をすることが前提になるため、ガスコンロ(IHコンロ)やオーブンレンジなどの設備を利用することになります。この結果、電気代やガス代が必要となります。また、調理に水は必須であることから、水道代もかかるでしょう。一般的なレンタルキッチンでは、電気代やガス代、水道代を別途請求するということはなく、利用料金の中に含めているため、一般的なレンタルスペースよりも利用料金は高くなるのが当然なのです。

そのうえ、レンタルキッチンは通常のレンタルスペースよりも管理コストがかかります。清掃頻度や清掃に係る消耗品、調理器具の消耗による交換などが発生することになり、維持費に費用がかかります。それらを含めた料金設定となっているのです。

レンタルキッチンの中には、「暖房費・冷房費」という名目で利用料金とは別に費用が掛かるところもあります。また、ガス・水道・電気などの水道光熱費を別料金で設定しているとこともありますので、事前にしっかりと確認が必要です。一般的なレンタルキッチンでは、利用料金の中に「通常調理で使う分の一切の費用」が含まれています。

オプションなどで別料金がかかるものには、「ごみ処理代」などのサービス、プロジェクター貸出代などがあります。レンタルキッチンでは、使った後は使う前の状態に戻することが求めれます。そのためにはしっかりと清掃し、調理器具等は元あった場所に戻すということが要求されますが、調理で発生したゴミはもともとレンタルキッチン内に存在しなかったものであるため、持ち帰るのが原則です。ただし、レンタルキッチンによっては処分費を支払うことで処分してくれるサービスを提供しているところがあります。

また、料理教室などの開催時にプロジェクターを使って資料や写真を投影したいという場合には、プロジェクターとスクリーンを借りる必要があります。もともとレンタルキッチン内に完備されていて無料で利用できるというケースは少なく、多くの場合には別途借りるという形式になるため、別料金が発生することになります。

利用料金は時間単位であるため、収容人数以内であれば1名で使う場合と15名で使う場合とで料金は変わらないことから、特に1名や2名などの少数でレンタルキッチンを利用する場合には割高に感じることもあるでしょう。人数制の料金設定のようなレンタルキッチンもあります。長野県長野市のレンタルキッチンスペース(ココシゴト)は、1名単位の利用料金が設定されており、1名でも気軽に利用しやすいサービス展開を行っていますが、予約や決済上の管理コストが大きいためレアケースといえます。

なお、料理教室などで収益を得る場合には、得た収益の一定割合を利用料金として納めることをルールにしているレンタルキッチンもあります。シェアキッチンの場合にはビジネス目的での利用が多く、売上または利益の一定額を納めるという考え方が浸透していますが、レンタルキッチンの場合には「収益を得る」こと自体を禁止しているところもあり、あるいは収益を得ても良いが一定割合を納めることを要求されることがあります。

無料の料理教室は別として、参加者からお金をもらって開催する「料理教室」「婚活クッキング」「合コン」などをレンタルキッチンで行う場合には事前の確認が必要です。

レンタルキッチンは、民間事業者が運営するものだけではなく、行政などの公的機関が運営しているものに大別されます。民間事業者の場合には、利用料金は比較的高めとなっています。これは、民間事業者は営利を追求する団体であることを考えると当然のことです。

一方、公的機関が運営するレンタルキッチンは利用料金が低額に設定されていることが多くなっています。驚くほど安い価格設定で運営しているところも見られますが、利用に細かなルールや制限が設けられていることも珍しくありません。例えば、利用者は当地に居住している人に限定されたり、ビジネス前提の利用はNG、あるいはビジネス目的の場合には割増料金といったスタイルです。レンタルキッチンとしての機能は変わりませんが、民間事業者が提供するレンタルキッチンの方が「おしゃれ」であることが多いです。カフェやバーのようなレンタルキッチンを提供しているところもあります。

公的機関が運営するレンタルキッチンは、広さや設備が充実しているという点が特徴として挙げられます。もともと人が集まることを想定して、行政が保有する施設内に整備したレンタルキッチンスペースとなりますので、20名から40名程度が収容できるようなレベル感で、プロ用の設備が導入されているようなところも珍しくありません。あるいは、設備は一般的であるが数が非常に多く準備されており、料理教室なども材料だけを持ち込めばすぐに開催できるというレベル感のところが多いです。

利用料金は運営主体によっても異なりますので、どのような団体が運営しているのかを確認することもポイントになるかもしれません。

賢くレンタルスペースを利用するためには、利用目的に応じてレンタルキッチンを選ぶということでしょう。自宅の近くに1件のレンタルキッチンしか存在しない場合には選択の余地はありませんが、少し足を伸ばすことで複数のレンタルキッチンの利用が選択肢に入る場合には、利用目的によって利用するスペースを変えるのが良いです。

通常のレンタルキッチンであれば、収容人数規模によって利用料金が設定されているため、自分一人で調理を楽しみたいときにはAレンタルキッチン、友人とワイワイ騒ぎながら調理とパーティーを楽しみたいときにはBレンタルキッチン、というように目的に応じて使い分けをするのが賢いと言えます。

シェアキッチンとは

シェアキッチンはビジネス利用を目的に利用されることが多い施設です。レンタルキッチンと明確な違いはありませんが、シェアキッチンというとやや「本格的なキッチン」というニュアンスが強く、「販売・営業できる」というイメージがあるかもしれませんが、まさにその通りと言えます。

キッチンをシェアできるシェアキッチン

レンタルキッチンよりはややプロ向けユースとも言えるのがシェアキッチン。シェアキッチン最大の特徴は、飲食店営業や製造などを行うことができる点にあります(営業許可を有していることがシェアキッチンを名乗るうえで求められているわけではありませんので、ビジネス利用ができないシェアキッチンもあることに注意してください)。

シェアキッチンでは、飲食店の営業許可やそうざい製造業許可などを既に取得している、あるいは取得できる要件を満たしているところが多く、自分が調理した料理を実際に販売することができるというのが大きな醍醐味となっています。将来、自分の店を持ちたいと思っている人でもいきなり店舗を持つのはリスクが大きく、店舗までは考えていないけれど趣味で作ったケーキを販売してみたいと考えている人も多いでしょう。調理した料理や飲食物を販売するためには、免許(許可)が必要です。

例えば、オリジナルのパンケーキを調理してお客様に提供・販売して対価としてお金をもらう場合、飲食店の営業許可が必要です。飲食店の営業許可は、「場所」に対して与えられるものであるため、パンケーキを作って売って良いと保健所から許可してもらうための「場所」が必要となります。保健所から許可を得るためには、さまざまな要件をクリアしなければなりません。地域ごとの保健所によって要件は異なることがありますが、飲食店の営業許可であれば、二層シンクや手洗いの設置、調理場と飲食スペースを区分する、などが基本的な要件となります。

自宅で週末のみカフェを営業したい場合には、自宅のキッチンで飲食店の営業許可を取る必要がありますが、自宅の場合には自宅のキッチンとは別に飲食店専用のキッチンを準備しなければなりません。つまり、二世帯住宅のように、もう一つキッチンを別の場所に設ける必要があるのですが、これを実現するためには水回りを大きく改修する必要があるため多額の投資が必要です。

結果的に、自宅でカフェを開きたい、弁当を作って販売したい、ケーキを焼いて提供したい、と考えたとしても営業許可を取得するところで行き詰まり、そのまま塩漬けになってしまう、棚上げ状態になってしまうというケースが散見されます。せっかくのやりたいことができないというのはもったいないことではありませんか。

シェアキッチンならば、飲食店の営業許可やそうざい製造業の許可などが取得されている(または取得できる)ことから、週末のみにスペースを借りて飲食事業を行ったり、夜に借りてお菓子を作って通信販売したり、という利用が可能となります。

飲食事業の免許は細かく区分されているため、自分が作りたい商品を調理できる免許なのかどうかを確認しましょう。例えば、パンを作ってマルシェなどで販売する場合には原則として「菓子製造業」の免許が必要です。ところが、希望するシェアキッチンは「惣菜業免許」を主としていた場合、パンの製造販売はできない可能性があります。免許ごとにできることできないことが決まっているのですが、意外と線引きがあいまいな部分が多く、地域の保健所の見解によって対応や扱いが異なるため、シェアキッチンの管理者に確認するのと同時に心配であれば保健所にも問い合わせするのが良いでしょう。

シェアキッチンを利用して飲食事業を展開する場合、免許の扱いには二通りがあります。1つは、シェアキッチン自体が免許を取得して、それを借りるようなイメージで利用者が飲食ビジネスを始めるケース。このケースでは、あくまでも免許を取得しているのはシェアキッチンであり、利用者は当該免許を借りることになりますので、対外的には製造者がシェアキッチン、販売者が利用者ということになります。もう一つは、利用者自らがシェアキッチンで飲食業免許を取得するケースです。この場合、シェアキッチンの運営者は免許を有しておらず、利用者自身が自分の名前で免許を取得することになります。

免許取得に関しては、シェアキッチンの方針や使い方、地域ごとの保健所の考え方と指導内容によって異なりますので、どれが正しいとは言えません。比較的多くの人が販売目的で利用するシェアキッチンはシェアキッチン自体が免許を取得することが多いです。なぜならば、飲食業の許可は人ではなく「場所」に対するものであるため、一つの場所にいくつもの免許が許可されること自体、おかしいという考え方も成り立ちます。一方、運営者自体は実際に調理を行っているわけではなく、販売もしていないのだから、製造販売する人が自分の名で許可を受けるべき、という考え方も成り立ちます。

このような考え方は、日替わりでシェアキッチンを使うようなケース、具体的には月曜日にはAさんが居酒屋を、火曜と水曜日はBさんが定食屋を、といった使い方ならば利用者は数名ですからそれら全員が一つのキッチンで免許を受けること自体、さほど違和感がないようにも思えます。実際にこのような使い方をする場合には、利用者自身が飲食業許可を得ることを前提にしているシェアキッチンも珍しくありません。

免許については、地域やシェアキッチン運営者の考え方によって異なるため、確認するようにしてください。なお、シェアキッチンで飲食業許可を受けている場合でも、実際に調理して販売する場合には、利用者(複数人の場合には代表者)が「食品衛生責任者」の資格を取得している必要があります(調理師資格などでも可)。食品衛生責任者自体はそれほど難易度の高いものではなく、最近はインターネット上で受講できるeラーニングなどもあるため、あまり心配する必要はありません。

なお、料理教室を開催する場合には「飲食業許可」を得た場所である必要はなく、講師に食品衛生責任者の資格取得も要求されていません。そのため、料理教室の開催であれば、シェアキッチンでも良いですが、レンタルキッチンでも問題なく開催することができます。

特に重要なのは、トラブル時の対応です。食品を販売する以上、シェアキッチンの利用者には責任があります。自らが製造して販売した食品を食べた消費者が食中毒などを起こしてしまった場合、最悪は亡くなってしまったという場合には多額の補償をしなければならない可能性があります。

シェアキッチンを利用して生じたトラブルは、免許が誰のものかに問わず、調理して販売した利用者に責任があるということになりますので、食品販売を行う場合にはPL保険(生産物賠償責任保険)などに自ら加入することを強くおすすめします。飲食系の事故はそれほど多いわけではありませんが、何か起きた時には大事になってしまうため、自分を守るという考え方も飲食事業を行ううえでは重要でしょう。

シェアキッチンの活用

シェアキッチンは、「ビジネス利用できる」というのが最大の活用点であると言えます。将来は飲食業で独立したいという人もいれば、自分で作った料理をとりあえず売ってみたいという人まで、少なからず製造した商品(料理)を販売するためには免許が必要です。

このような飲食店の営業許可、菓子製造業許可、そうざい製造業許可を個人が自宅などで取得するのは難易度が高く、費用もかかります。シェアキッチンであれば、自分で製造したものを販売できるというのが最大の醍醐味と言えるでしょう。

シェアキッチンが持つ免許や取得できる免許は、シェアキッチンの設備状況によって異なります。自分が作りたい商品(料理)がそのシェアキッチンで製造できるかどうかは、シェアキッチンに確認する必要があります。飲食業の免許は細かく細分化されており、素人に簡単に分かるものではありません。例えば、調理したラーメンをその場でお客様に提供する場合には「飲食店の営業許可」が必要ですが、半加工したラーメンを冷凍してインターネットで販売する場合には「冷凍食品製造許可」や「惣菜業免許」が必要になることが多いです。お店でラーメンも提供しつつ、インターネットで冷凍ラーメンを販売するとなれば、複数の免許や許可が必要となります。これらをシェアキッチン側が満たしているか、あるいは、取得できる状況にあるかを確認する必要があります。なお、シェアキッチン側の免許を使うのではなく、利用者が当該シェアキッチンで自ら許可を受ける場合には保健所への手続きと申請費用が必要となります。申請費用は許可を受ける内容や地域によって異なりますが、5年間で15,000円程度。趣味でちょっとパンを作って売ってみたいという場合には、自ら許可を受けなくてはならないシェアキッチンではなく、既に菓子製造業の許可を受けているシェアキッチンの免許を借りる方がコスト面では圧倒的に有利です。

一般的なシェアキッチンは、ある程度、継続してビジネス利用することを前提にスペースを貸している傾向にあります。そのため、単発で貸してくれるところはそれほど多くはありません。レンタルキッチンは、いろいろな人がいろいろな目的で利用することが前提になっていますが、シェアキッチンはある程度特定された(固定された)メンバーが、キッチンを共有するという考え方です。従って、利用時には会員登録や本人確認を必須としているところばかりで、この扱いについてもレンタルキッチンと異なるところです。

レンタルキッチンに比べればシェアキッチンの方が敷居は高いというのが正直なところですが、自分が作った料理を販売することができるというのは極めて大きな意味を持つ、と言えます。

シェアキッチンのメリット

最大のメリットは、飲食業の許可を受けた(受けられる)施設であることです。飲食業を行うためには、地域の保健所から許可を受けなければなりません。クッキーを作るのが趣味で、自宅で作ったクッキーを商品として販売する場合には、菓子製造業の許可を受ける必要があります。

シェアキッチンなら販売も可能

しかし、菓子製造業の許可を受けるためには自宅のキッチンとは別にキッチンを準備する必要があり、そして二槽シンクや手洗い器、密閉された室であること、など地域によって異なるものの細かな要件が決められています。

マンションの一室では許可を得る程度に改修するのは難しく、一戸建てであれば1つの部屋をキッチンルームに改修するという意気込みがあれば可能だと言えますが、水回りの工事を行うとなるとかなりの投資が必要です。仮に、300万円ほど投資して改修し菓子製造業の許可を受けたとしても、その300万円を改修するのにどれだけのお菓子を売らなければならないのかを考えると、やや気が遠くなるのではないでしょうか。原価率を50%(実際にはもっと低く作らなければ厳しいですが、計算しやすく半分とします)とすると、600万円の販売が必要です。3年がかりで600万円を売ることを考えるならば、1年間で200万円、1カ月ではおよそ17万円。趣味レベルのお菓子販売で一カ月17万円販売するというのは簡単なことではないでしょう。1週間では4万円、1日当たりに換算すると5,000円~6,000円という計算になります。

ここまでの計算では、水道光熱費については考えていませんでした。飲食物を作るためには、水と電気とガスを使うことが一般的です。そのため、電気代と水道代、ガス代(これらを含めて水道光熱費と呼ぶことが多いです)も考慮しなければなりません。売れなくても基本料金を負担しなければならない水道光熱費は、1カ月あたり最低でも1万円はかかります。他にも、菓子製造業の許可を取得するのに5年分で20,000円程度、食品表示ラベルの機械やラベル、そもそもの調理機械・器具類もすべて揃えると相当な金額になります。

自宅で小規模な食品製造を行うことだけを考えても数百万の初期投資と毎月のランニングコストが発生することを考えると、シェアキッチンの有難みというのが分かります。ちょっと売ってみたい、という人にはシェアキッチンが最適、もちろん、将来的に店舗を構えたいという人でもシェアキッチンは利用できます。

多くのシェアキッチンは店舗一体型となっており、キッチンのほかに客席も準備されていることが多いです。簡単に言えば、「飲食店を丸ごとレンタルする」というイメージです。ですから、調理した料理をその場でお客様に食べてもらうことが可能です。

一つのお店なのに、昼と夜では異なる店舗に変わっていたり、曜日ごとに違う店名に変わっていたり、という飲食店を見たことはありませんか。あるいは、月ごとにコロコロとお店が変わるという店舗もあります。これらは、シェアキッチンの典型例と言ってよいでしょう。

シェアキッチンはもともとキッチンをシェアするというもので、店舗自体を複数人で運営するというように考えても間違いではありません。毎日は運営しないで自分で店舗を準備するまでは必要ないが、本業が休みである月曜日だけカフェを営業してみたい、そんな人が複数集まることで一つの店舗を複数の人によってシェアしていくわけです。

いうなれば、飲食店の営業権利を1日や1週間という単位で借りるというイメージです。このようなスタイルがシェアキッチンには多いため、キッチンに加えてホールなども付随していることが一般的です。新型コロナウイルス感染症の蔓延によって、消費者が来店せず、デリバリーやテイクアウトが中心になった時期があります。その名残もあって、今でもゴーストキッチンと呼ばれるような、ホールを有しないキッチンも数多く存在します。

このようなレンタルキッチンは、キッチンに特化していることが多く、ホールは存在しません。スーパーに卸す弁当を製造したり、マルシェなどのイベントで販売するパンなどを製造する人からすれば、むしろホール自体はない方が気が楽ということもあります。そのような人からすれば、ホール無しのシェアキッチンの方が使い勝手が良いというのも事実でしょう。自分がどのように使いたいのかによってシェアキッチンの使い分けも必要かと思います。

シェアキッチンは飲食業の営業許可以外に「設備が揃っている」というのも大きな特徴です。必ずしも自分が使いたい厨房機器があるかどうかは分かりませんが、プロ用の設備が取り揃えられていることが一般的です。

最近は高機能の調理機器が登場しており、どんな調理もできてしまうようなスチームコンベクション、あっという間に冷やせる急速冷凍機などさまざまなものがあります。このような業務用の厨房設備が利用できるというのは非常に魅力的であるといえます。また、キッチンとホールも使えるシェアキッチンでは料理皿などもすべて利用できるため、食材さえ搬入すればそのまま飲食店をオープンすることが可能です。

調理をしていると分かると思いますが、あれもこれも必要になったり、これもあったら便利だな、というような調理器具やキッチンツールはたくさん感じるところでしょう。しかし、自宅ではいろいろと買いそろえたところで置く場所もないし、調理道具というのは比較的高価であるため気軽に購入することができるものばかりではありません。シェアキッチンには自分では買うことができないようなプロ器具から買う必要まではないようなものもたくさん揃っていますので、そのようなものに触れる・感じるということだけでも価値があると思う人も多いようです。

シェアキッチンのデメリット

シェアキッチンは複数の人によりキッチンを共有することになります。そのため、細かなルールが決められていますので、それらを遵守する必要がある、ということに注意が必要です。どのシェアキッチンもビジネス利用を前提にしているため、自宅で使うようなレベルや意識での利用は好ましくありません。

シェアキッチンはネガティブな面もあります

調理器具もみんなで使うわけですから丁寧に扱う必要がありますし、みんなで意識を高めながら清掃を行うことでいつでも綺麗なシェアキッチンを維持することができるのです。

ビジネスというのは、収入を得ることができる反面、「責任」も負うことになります。責任があるからこそ収益を得ることもできるわけですが、食に関する責任は重大です。定期的にニュースで大規模な食中毒に関する報道を見かけることがあります。最悪の場合には亡くなるようなケースもあり、特に生ものを提供する場合には慎重になることが求められます。

このような食に関するトラブルを避けるためには、調理人自体がしっかりとした知識を持って調理を行うことが重要です。新鮮な材料を使い、素早く調理し、手早く提供する。キッチン内を常に清潔に保ちながら、菌の繁殖を防ぎ、食の安全を確保する。

シェアキッチンのデメリットは、複数人が利用することでトラブルが発生しやすいことが挙げられます。いろいろな人が利用できるという事実は、メリットでもありデメリットでもあるのです。あなたは自宅のキッチンを誰かに貸したいと思うでしょうか?どのように使われるのか、壊されないか、汚されないか、使った後は綺麗に清掃してくれるか、いろいろなことを考えてしまうでしょう。その結果、やはり貸すのはちょっと・・・となるのではないでしょうか。ところが、シェアキッチンというのはいろいろな人が同一のキッチンを共有することが前提であるため、人による癖や意識レベルでの差が付きやすい。

「綺麗になるまで清掃しましょう」というルールがあったとき、何をもって綺麗になったかというのは客観的な基準はありそうでないのです。道具を元あった場所に戻しましょうというのであれば、もともとの場所に戻せば事足りますし、言葉のニュアンスによる意味の齟齬もそれほど生じません。ところが、「綺麗になったかどうか」というのは極めてあいまいで、このレベルで綺麗とは言えないと思う人もいれば、これだけやれば十分という人もいます。ここの擦り合わせは現実的にはできないため、自分と他の利用者の価値観がズレすぎていると無用なストレスを感じることになってしまうのです。そういったことをできるだけなくすために、シェアキッチンの場合には面談等を行い、運営者からしっかりとした説明がなされることが多くなります。

運営者からすればいろいろな人に使ってほしいという気持ちはあるものの、ルールを守らない人にまで貸したくはない。10人中9人が綺麗に丁寧に使っていても、たった1人が中途半端な使い方をすればそれでも良いんだと感じてしまう人が9人の中から現れ、どんどんキッチンは荒れていく。そのようなことを避ける目的もあって、シェアキッチン利用時にはルールの説明や誓約書などを書かせることが一般的です。

申込時点で利用を断られることもあるでしょう。面談というのは運営者からすれば一種の審査を行っているわけですから、事前に持参を依頼したものを持ってこないようなケースでは、この人は今後も規則を守れない人なのではないか、という疑念を生じさせ、秩序が乱れてしまう可能性も含めて利用を断ることも大いに想定されます。また、シェアキッチンのカラーに合わないような飲食物を販売したいという場合にも利用を断れれることがあります。例えば、シェアキッチンが住宅街にあるような場合、臭いの強い飲食物を提供することを告げると難しいと言われるケース、静かな環境にあるシェアキッチンでカラオケスナックを営業したいというと難色を示されるケース、土地柄や地域性、オーナー・運営者の目指すイメージとズレてしまうと利用できないことがあります。これは利用者自身を否定しているものではなく、単に相性が悪かったという次元の話ですから、気にせずに別の場所を探すことが良いです。

比較的シェアキッチンは長期で契約する人が多いという傾向にあります。シェアキッチンを借りて自分の名前で営業許可を受けている場合には、許可期間は5年程度というのが一般的ですから、その場所で5年は営業できるわけです。そのため、長期的に借りる人もいますから、空きがないというのもデメリットかもしれません。待っていれば空く、いついつからなら使えるというようなアナウンスがあれば待てますが、いつ空くか分からないということになれば利用者も動きにくいというのが正直なところです。そのような点を含めれば、シェアキッチンは他の利用者の利用スタイルに応じて利用時間や曜日などに影響を受けてしまうというのも特徴です。特に、土日は早くから予約でいっぱいになるという可能性がありますので注意が必要です。

もっとも重要なことはトラブルへの対応です。

飲食において、キッチンをいかに綺麗に維持するか、というのは非常に重要です。梅雨時や夏場は食中毒が発生しやすい時期として知られていますが、キッチン自体の清潔さを維持するのは簡単なことでありません。いい加減なまな板の洗い方によってすぐに菌が繁殖することもありますし、そもそも手洗いをしっかりと行わずに調理をした結果、キッチン内のさまざまなところに危険な菌を振りまいてしまうこともあり得ます。このような調理品を扱う人間として意識の低い対応をした結果、食中毒を起こしたということになれば責任は重大と言えるでしょう。手洗いをしっかりと行わなかった本人が責任を負うことは当然ですが、実はシェアキッチンはそれだけでは済まないのです。

シェアキッチンは複数人でキッチンを共有していることから、トラブル時には連帯責任となることがあります。例えば、月ごとにキッチンをシェアしている場合と曜日ごとにキッチンをシェアしているケースを考えてみます。月ごとにキッチンをシェアしているケースで、3月を担当していたCさんが3月15日に食中毒事故が発生してしまったとします。この場合、2月に利用していたBさんには責任があるとは言えず、ほぼCさんの調理に何らかの問題があったことは明らかです。ですから、責任はBさんが負うことなるでしょう。またシェアキッチンは一時的に営業停止処分になることが考えられますが、日数的には数日ですから4月に利用するDさんにはさほど影響はないように思えます。ですが、キッチンをシェアしている以上、「先月ここで食中毒事故があった」という情報が半永久的に残ることを考えると、キッチン(店舗)としてのイメージは駄々落ち感があり、ブランド価値も低下する可能性があります。この点、施設運営者も巻き込んで全体がマイナスの影響を受けてしまいます。

曜日ごとにキッチンをシェアしているケースを考えてみます。Aさんが月曜日に営業を終え、Bさんが火曜日に営業を開始しました。その後、Bさんが営業を終え、水曜日からCさんが営業を開始、そこで食中毒事故が発生してしまいました。この場合、直接的に食中毒を発生させたのはCさんですから、Cさんが責任を負うことになるでしょう。一方、なぜ食中毒が起きたのかという原因を探る中で、Bさんが前日にしっかりと清掃をしなかったという根本原因があったとします。この場合、直接的に責任を負うのはCさんですが、Bさん自体にも責任があり、もっと言えばシェアキッチンの運営者にも管理責任が生じるとも言えます。さらに、この事故をきっかけに営業停止処分がなされれば、木曜日以降の営業はすぐに再開できず、先の事例と同様にキッチン自体のブランド価値は低下してしまいます。

シェアするというのは、メリットもデメリットもシェアすることに他なりません。良いところだけを享受するということではなく、マイナス面も全面的に享受することになるわけです。このようなこともあって、シェアキッチンでは厳格なルールを設けているところが多いと言えます。

シェアキッチンというのは、今まではなかった考え方や利用の仕方であり、法規制が追い付いていない部分でもあります。良くも悪くも食品関係の規制は地域によって異なることもあり、柔軟な運用がされているなかで、シェアキッチンというスタイルも現時点では未成熟であるのも事実です。今後、シェアキッチンに関して何らかの規制などが組まれるようなこともあるかもしれませんが、どのようなものであっても目的は食の安全を実現することですから、シェアキッチンを利用する際にはみんなで意識を持って安全確保に努めるほかありません。

なお、シェアキッチンを利用する場合には必ず保険に加入することを忘れないようにしましょう。シェアキッチンの中には、保険加入を利用時の条件としているところも見られますが、何かあったときのために保険加入は必須です。飲食系の保険にはさまざまなものがありますが、PL保険(生産物賠償責任保険)と呼ばれるものに加入すれば大丈夫です。いくつかの保険会社で取扱いがあります。シェアキッチンで条件の良いPL保険を紹介してもらえることもありますので、聞いてみると良いです。

保険料は売上(見込み含む)によって変わるケースが多く、よほど売上が大きくない限りは年間で5,000円~20,000円程度です。中には1,000円程度の保険もあります。掛け金が大きければそれだけ補償内容が充実しているということになりますが、週末に製造販売するというレベルであれば食中毒等が起こる確率はさほど高くないため、あまりに高い保険に入る必要はないと言えます。保険に入る際には、どのようなケースが対象になるのかをしっかりと確認しておきましょう。お菓子をインターネットで販売するのであれば、購入したお菓子を食べて生じるトラブル(食中毒事故、混入事故など)に最低限対応している必要があります。一方で、自らが車の事故で働けなくなってしまった時の所得補償のようなものは不要でしょう。いくつかの保険を比較することをおすすめします。

保険に入れば安全を軽視して良いということではありません。保険に入ることで生じるモラルハザードでキッチンがどんどん荒れていくというのでは本末転倒です。保険というのはあくまでも最悪のことを想定しているだけのことなのです。

シェアキッチンでできること

シェアキッチンは、自分で作った飲食物を販売できるというのが大きな醍醐味ですが、他にも人脈ができるという特徴もあります。

シェアキッチンでネットワークを広げる

シェアキッチンに集まってくる人は、飲食が大好きで、自分で将来店を持ちたい、飲食を通じて地域の人を幸せにしたい、といった向上心溢れる人が多くいます。時にはかなり有名なシェフが混ざっていることもあり、横の繋がりを作ることができます。飲食に関わっている人は我が国においては多く存在すると言われていますが、身近にどのくらいいるかと言われればそうでもないという人も多いでしょう。

料理人と知り合う機会や場所はそれほど多くはないのですが、シェアキッチンにはいろいろな料理人が集まっており、定期的な会合などでコミュニケーションすることができます。また、シェアキッチンによって定期的に利用者同士を結び付ける交流会を開催しているところもあり、そのようなところに積極的に顔を出すことによっていろいろな情報を手に入れることができます。

料理人はそれぞれがいろいろな情報を所有・蓄積しているものです。例えば、先月まで外国にいた料理人がまだ日本では知られていない人気料理のことに詳しかったり、飲食店を過去に経営していたものの上手く行かずに閉店した経験を持っていたり、このような人々から得られる情報というのは自分が体験するならばとてつもない投資をしなければ得られることのない生きた情報です。このような、世の中にはあまり出回っていない情報を直接聞くことができるというのは本当に魅力的な事だと言えるでしょう。

実際にシェアキッチンで意気投合して一緒に飲食店を開店したというケースも見られます。また、出会いという点では少し異なりますが、シェアキッチンで知り合って結婚したカップルなども珍しくありません。

シェアキッチンはビジネスとして料理人と消費者を橋渡しするものですが、料理人と料理人同士のコミュニケーションを育む場所でもある、というのも大きな魅力なのです。 なお、他の人と交わりながらビジネスを進めていく場所には、コワーキングスペースが代表的です。コワーキングスペースについても紹介しておきます。ビジネス仲間を増やしたいときにはコワーキングスペースの利用もおすすめです。

コワーキングスペースとは

最近、全国各地で見られるようになったコワーキングスペース。仕事をする場所、というのはなんとなくわかるけれど、具体的にどのようなものであるのかは分からない、という人が多いのではないでしょうか。

コワーキングスペース

コワーキングスペース(Coworking Space)とは、「共同で働く場所」のことです。

「Co(共同の、共通の)」と「work(働く)」、「場所(Space)」の3つを組み合わせた造語となっています。

簡単に言えば、「いろいろな人と一緒に仕事を行うことができる空間」と考えれば良いでしょう。仕事専用のカフェのようなもので、自分の好きな場所に座って作業をすることができます。最大の醍醐味とも言えるのが、他の人とコミュニケーションしながら仕事ができるという点です。普通のカフェで隣の人にいきなり話しかければ警戒されるのは当然です。ところが、コワーキングスペースでは話しかけられるのを待っている人も多く、初対面なのに同一のテーブルで仕事をしたり、そのまま盛り上がって一緒にビジネスを立ち上げるというコラボレーションに発展するようなことも珍しくありません。

特に、フリーランスなどの個人事業主は自分が属するビジネスの業種以外の人とは出会いが少なく、ネットワークも狭くなりがちです。コワーキングスペースには普段は出会うことのできないさまざまな業種の人や役職の人が同一空間で仕事をしていますので、ビジネス上のマッチングに繋げたり、新たに人脈を得ることで自分のビジネスを大きく発展させることのできるチャンスがあります。 単に仕事をする場所ということだけではなく、出会いや刺激、成長など魅力が詰まった空間がコワーキングスペースなのです。

コワーキングスペースのタイプ

一昔前のコワーキングスペースといえば、どれも似たり寄ったりという感じのものが多かったわけですが、最近はさまざまなコワーキングスペースが登場しています。タイプ別に分けることができますので、それぞれについて説明していきます。

専門型から簡易型

 コワーキングスペースとしての専門性による分類です。コワーキングスペースというコンセプトは同じでも、機能性を追求して専門性を高めたスペースもあれば、とりあえずデスクと椅子が設置されたスペースも存在します。

 コワーキングスペースとしてより専門性を高めたものには、機能向上が図られていることを挙げることができます。例えば、コピー機(複合機)の設置などによりオフィス機能を高めたもの、テレフォンブースの造作によって空間機能を向上させたものなど、ハード面での機能向上。一方、ドリンク飲み放題やイベント(勉強会や異業種交流会など)の開催などのソフト面での機能向上を図ることでコワーキングスペースとしての機能向上を実現し、結果的に魅力を高めているところも存在します。

 専門型と言えば、機能や質的向上が図られたものを指し、簡易型とはシンプルなものを指していますが、必ずしも専門型の方が人気ということでもありません。自宅で集中できないからコワーキングスペースに来ているのに、書籍が豊富に並んでいるようなコワーキングスペースではむしろ集中力に欠けることもあるでしょうし、ドリンク無料などの有難いサービスもそれがあるが故にコワーキングスペースの利用料が高額になってしまえば、シンプルな場所だけの簡易的なコワーキングスペースの方が集中力は高まり、利用料も安価という点で選ばれることもあります。

公共施設と民間

 運営主体によるタイプ分けです。主として自治体が運営するケースと民間事業者が運営するケースに大別されます。最近は自治体の運営から指定管理者への移行、業務委託といったものも見られ、第三セクター方式というような運営方法もあります。

 運営主体の違いは、サービスのレベルに少なからず影響を与えるといえます。例えば、自治体が運営するコワーキングスペースは、行政の施設を利用していることが多いため、週末などは営業していないことが多い。また、コワーキングスペース自体も最小限の機能に留められており、スペースはいかにも仕事部屋というイメージが強い。一方、民間事業者が運営するコワーキングスペースは365日24時間使えるといった時間の縛りがないことが多く、カフェのようなおしゃれな内装が多くなっているほか、ドリンク無料などソフト面での充実が見られます。

 自治体が運営するコワーキングスペースに対して否定的に見ているわけでもありません。というのは、何よりも利用料が安いケースが多いことです。民間事業者のコワーキングスペースの1日あたり利用料は1,500円~5,000円程度が一般的ですが、自治体の運営するコワーキングスペースは1日あたりの利用料が300円や500円といったものも珍しくありません。営利を追求していないからこそできる価格設定は、機能面で劣ったとしても十分に魅力的と言えるのではないでしょうか。おしゃれな空間でなくても仕事はできるわけですから、図書館で仕事をするようなイメージに近い自治体のコワーキングスペースに人気があるのも頷けます。

なお、自治体が運営しているからといって必ず利用料が安いとか、機能面で不十分ということではありません。県庁の中でデザイン性の高い最新のオフィス家具を配置したコワーキングスペースを運営しているようなところも出てきており、価格も自治体運営だから安いと必ずしも言い切れないケースも増えてきています。

カフェ型とオフィス型

デスクの配置やオフィス家具のチョイスによって、カフェ型とオフィス型のタイプに分けることができます。丸型テーブル(カフェテーブル)やボックス席(ソファー)を配置、ペンダント電球などによりカフェの雰囲気を演出したものがカフェ型です。白を基調とした一般的なデスクを配置、あるいはフリーアドレス制のミーティングテーブルを配置して、いわゆる会社で仕事をするのと同じ空間がオフィス型です。

 おしゃれな空間で仕事をしたい人や若者は勉強をカフェですることが慣れているので、カフェスタイルのコワーキングスペースに人気があるようです。一般的なカフェとほぼ同じような空間で仕事をでき、会話もしやすいという特徴があります。BGMが軽く流れており、ちょっとした雑音(ノイズ)が乗りやすいというのもあって、静かすぎる部屋よりも捗るという意見も多いでしょう。仲間を見つけやすく、ライトで柔軟な印象があります。

 カフェに比べていかにも仕事部屋というのがオフィス型の特徴です。無機質な部屋にデスクとチェアが置かれており、あたかも会社に通勤するようなかたちで仕事に励むことができる。飾らない空間だからこそ集中することができ、仕事をしたという充実感を得やすいのもオフィス型の特徴と言えるでしょう。最低限必要なものだけが揃えられた空間というのは、慣れてしまうと飽きの来ないシンプルさが魅力的に見えてきます。

このように、カフェ型とオフィス型はどちらが好みかというレベルの違いであって、コワーキングスペースとしての本質や機能には大差ないことがほとんどです。その意味で、気分で使い分けるといったレベルのタイプ分けともいえます。

部屋(コワーキングスペース、集中ルーム、テレフォンルームなど)

部屋の構造や機能でコワーキングスペースをタイプ分けすることができます。

コワーキングスペースの活用

一般的なコワーキングスペースは会話などに制限は設けられず、むしろ積極的なコミュニケーションが推奨されているところです。逆に、パーテーションで囲まれた空間にデスクが設置され自分の世界に没頭できる集中ルームや、電話やオンライン会議を自由に行うことのできるテレフォンルームなどもあります。もっとも、集中ルーム(ブースルームとも言われる)やテレフォンルームは本来的なコワーキングスペースとは言えない部分もありますが、ワークスペースとしての機能を有するものであり、広義のワークスペースとして捉えることができます。

 コワーキングスペースと言えば、最低でも3坪程度のスペースがあり、コミュニケーションを図ることができるようにミーティングテーブル(大型テーブル)が配置され、テーブルを囲むように座ることが一般的です。隣や向かいの人と会話するのに制限はなく、積極的なコミュニケーションによってさまざまなものを創造することが期待されます。しかし、時には一人で集中して仕事をしたいというニーズもあるでしょうし、勉強などを行う場合には周りとの会話をシャットダウンしたいという時もあるはずです。このような場合、コワーキングスペース内で孤立して仕事や作業をするというのは物理的に難しく、また、耳栓をして話すなオーラを醸し出すというのも場の雰囲気を壊してしまうでしょう。

 そのような時に使うことを想定されているのが集中ルームです。パーティション(間仕切り板)で区切られた空間の中にデスクが置かれ、そこに入ることで周りを気にせず集中して仕事をすることができます。人から声をかけられることもなく、自分の世界で作業を進めることができる。一人で仕事をしたい気分のとき、一人で仕事をするのが好きな人に人気の空間です。このように、集中ルームとコワーキングスペースの両方を利用できる環境であれば、午前中は集中ルームで作業に没頭し、午後はコワーキングスペースで会話を楽しみながら仕事を進める、といった使い方も可能となります。

 テレフォンルームはネットミーティングや電話会議などを行う際に使うことができる部屋。他にも、少人数で会議を行うことができるミーティングルーム、大人数が収容できるセミナールームなどもコワーキングスペースの付随的なルームと言えるでしょう。これらの部屋を組み合わせてコワーキングスペースとして働きやすい環境を提供する事業者が増加しています。  本来的なコワーキングスペースという枠を超え、あるいはコワーキングスペースを補完するかたちで、より柔軟で便利なワークスペースを提供するためにさまざまなスペースが登場しています。