資格試験の勉強をしているときに、難しい問題にあたってしまって「ウンウン」うなる。
しかし、いっこうに分からない。
このような場合、あきらめて「サッサ」と答えと解説を見れば良いのですが、「解けるはずだ!」などと考えて時間を費やす人も多いようです。
それはそれで構いませんが、パッと見でよくわからないような問題は、多くの場合には、「考えても分からない」ということが大半です。
それはなぜでしょうか?
資格試験などの場合、考えるという作業は、独創的なものでなければ、創造的なものでもありません。
無から有を生み出すために「考える」わけでもないのです。
その意味で、一般的に言われている「考える」ということと、資格試験などの勉強が意味する「考える」というのは少し違うのです。
私たちのような受験生は、学者になるわけではありません。ですから、本来的な「考える」という作業は必要ないのです。
だとすると、問題を目の前にして「ウンウン」うなっているのは、考えているわけでなくて、「思い出している」だけなのです。
「頭に汗かいて考えろ!」なんていうのは、資格試験には必要ありません。
なぜならば、あなたが必死になって問題を「考えている」としても、それはあなたの錯覚です。
考えているように思えるし見えるだけで、実際には勉強した「知識を思い出している」だけに過ぎません。
つまり、
- 「これってどうやったっけ」
- 「確かあそこに書いてあった」
- 「この場合は、あれだっけ?」
- 「ああ、先日やったとこだ」
と言ったような状況が頭の中で繰り返されています。
これら全ては考えているわけではなく、単に自分が知識として覚えたものを「思い出している」だけです。
言い換えれば、覚えていない問題はどんなに考えても解くことはできない、ということがいえます。
逆に、覚えてさえいればほとんどの問題を解くことはできる、ともいえます。
あなたも問題を解いている時の自分が何を「考えている」のか今度意識してみてください。
おそらく、考えているのではなく、単に自分の知識を辿っているだけに過ぎないはずです。
ですから、ウンウンひねらなければ分からないような問題が出てきたら、サッサとあきらめて解答と解説を見ましょう。考えても分かるはずのないことに時間を割くのはムダです。
もちろん、かなり長時間頭を悩ませた結果、ようやく「これこれ!」と問題が解けることもあるでしょう。
しかし、これも、結局は長い時間をかけながらようやく思い出すことができた、ということに過ぎないのがほとんどです。そこまで長く時間を掛けて思い出しても、本試験では時間切れになることも多いでしょう。
そんなことに時間を割くよりも、どんどん知識として吸収していくことを優先してください。
結局、覚えていないものはできない、覚えているものはできる、これが資格試験の本質なのです。