資格試験・検定試験と呼ばれるものは3,000種程度あるといわれています。
その中でも、やはり国家資格というのは人気のある試験です。国家資格というのは、国の法律に定めがあるという意味で安心もあったり、あるいは、その資格を持っていなければ業務ができないという独占業務が付与されることもあります。
今回、新たな資格試験が創設されるとのことです。
名前は、企業財務管理士。
この資格ですが、金融庁が創設を考えているようなので、おそらく国家試験という位置づけで開始されると思います。運用開始は平成25年の予定だとか。
そもそも、金融庁といえば管理下にある資格試験で代表的なものが公認会計士です。ただ、この公認会計士制度も大きな改革の途上にあり、具体的には公認会計士が不足している!ということから、合格者を増やしたわけです。
でも、実際に合格者を増やしたら、その受け皿が追いつかず、公認会計士を持っているのに就職できない人が増加。実は、弁護士も同じ道を辿っているのです。
そもそも、米国と比べて人数の大小を比較して増員!増員!とやっているわけですが、確かに日本では専門人材が不足しているとはいえ、増員しても結果的に職を失う人を増やしているという何とも不幸な結果になっているのです。
では、それはなぜか?
結局、まだまだ日本では「実力主義」というのが浸透していない。
つまり、米国では弁護士や会計士になるのはそれほど難しくはありません。ロースクールという制度は米国にならって日本も導入した制度ですが、米国ではロースクールでしっかりと勉強すれば基本的には弁護士になることはできる。
だから、弁護士になる人は、弁護士になれるかどうかではなく、弁護士になってからどう活躍しようかということを予め考えている。
そして、弁護士の世界だとしても、それは完全な競争社会なわけで、結局は営業力や自分を売り込む、信用してもらうことができなければ活躍はできない、そんな前提があるのです。
しかし、日本は「資格を取ったら安泰」という風潮がある。だから、とりあえず資格を取れば大丈夫というイメージがありますよね?弁護士になれば、公認会計士になれば人生安泰というわけです。
でも、それでは資格を取得することが目的になっている人を生み出すだけの話であって、そういった資格をとれば何とかなるというイメージを持っている人は今は就職先がないという状況を迎えているわけです。
資格を取ってもその先の方が大変だという認識をしっかりと持つことが重要だということでしょう。よく言われる話に、資格は足の指に付いた米粒だ!というものがあります。
要するに、取っても食えないということを言っているのです。
もちろん、マーケット的な問題もあります。つまり、日本は米国に比べて目に見えないものを買うという意識が低い。米国の人は情報などたとえ目に見えないものであっても、それが重要だと思えばお金を出してでも買う。
しかし、日本人はそういった傾向がないのです。資格取得者が提供するサービスというのは基本的に情報や手続きなど、いわゆる目の見えないサービスですよね。
結果として、本来はもっと公認会計士や弁護士などに依頼すべき案件はたくさんあるのに依頼しようとしない。また、目に見えないものにお金を払いたくないから、報酬の減額を要求する。
でも、そんなことをしたら損するのは誰かといえば、サービスを利用しない人だったり、適切な金額で依頼しない人だったりするのです。安いものは安いなりの価値でしかない。
そんな状況の中、あらたに企業財務会計士という資格が誕生しようとしている。
長くなったので続きは次回で。